ものほし

ものほし -joyfutonの活動日誌-

旅行と歴史が好きな30代の社会人が、街歩き、旅行、美術、写真、など自分の好きなものを好きなようにやるブログ

社畜百人一首

皆さんちはやふる -結び- 見ましたか!?本当に良かったですよね。さてところで僕は最近、百人一首のパロディを作るのにハマっています。第して「社畜百人一首」です。とりあえず1つ御覧ください。

働いて後の心にくらぶれば昔はものを思はざりけり
(就職したあとのつらさに比べると、学生時代の悩みなどはものの数には入らないようなものだったのですね)

元ネタ:43番 権中納言敦忠
逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり

はい、こういうやつです。

それでは行ってみましょう。まずはブラック企業編です。

 

ブラック企業

内定がため 惜しからざりし 時給さへ 高くもがなと 思ひけるかな
(内定のためなら、安くても惜しくはないと思っていた賃金も、就職した今となっては、もうちょっと高かったらなあと思うようになった。)

人と比べると辛くなりますね。

元ネタ:50番 藤原義孝 

君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな 
 

明けぬれば暮るるものとは知りながらなほうらめしき朝ぼらけかな
(夜が明ければ、やがて日が暮れてお家に帰れると分かっているのに、やはりうらめしく思える出勤しなければならない明け方だなあ。)

出勤するときの足取りの重さを歌った名歌です。

元ネタ:52番 藤原道信朝臣

(口語訳で補う部分だけ改変したパターン)

 

わたの原 八十島かけて 漕き出でぬと 人には告げよ タイムカード
(「はるか大海原を、多くの島々目指して漕ぎ出して行くように、定時で帰宅した」ということにしておいてくれ、と思ってタイムカードを打って、再び仕事に戻った)

「人には告げよ」というところから、実際には仕事に戻ったということを類推しないといけない、読解力の必要な歌です。

 元ネタ:11番 参議篁 

わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣船 

 

めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に雲かくれにし夜半の月かな
(久しぶりにめぐり合って、見分けがつかないうちに雲に隠れてしまった夜中の月。その月のように、上司もあわただしく帰ってしまった)

社会は戦場。情けをかけたら自分も討ち死にしてしまうのです。

元ネタ:53番 紫式部
(口語訳で補う部分だけ改変したパターン)

 

転職を考える編

ヤバイ企業から脱出するために転職を考え始めます。

辞めるてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
(退職しようという私の噂は早くも社内に広まってしまったことだ。誰にも知られないように、密かに心のうちで思い始めたばかりなのに。)

秘めた恋と隠された退職意志はうまく置き換えられそう。

元ネタ:41番 壬生忠見 

恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか 

 

しのぶれど 色に出でにけり わが辞意は ものや思ふと 人の問ふまで
(心に秘めてきたけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。「転職考えてるんですか?」と、人に尋ねられるほどになった。)

ついに顔にも出てしまい、バレバレな状況です。

元ネタ:40番 平兼盛 

忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで 

 

わが職は 自宅の警備 しかぞすむ 世をニートと 人はいふなり
(私の仕事は自宅警備員で、そこで静かにくらしている。しかし世間の人たちはニートだと噂しているようだ)

無事に辞められたようです。しかしニートになってしまった。平安時代だとお坊さんになれたんですけどね。

元ネタ: 8番 喜撰法師 

わが庵は都の辰巳しかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり 

番外編:母校を懐かしむ編

京大や 古き部室の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり
(京大のボロい部室棟を見ていて、しのんでもしのびつくせないほど思い慕われてくるのは、楽しかった学生時代のことだよ。)

はあ、学生に戻りたい

元ネタ:100番 順徳院

百敷や古き軒端のしのぶにも なほ余りある昔なりけり 

 

おわりに

というわけで、いかがだったでしょうか。

実は百人一首のパロディは古来から行われています。和歌に込められたリズムや思いが現代の人々にまで伝わっているからこそ、こういう遊びができるのは楽しいですね。

ちなみに僕はブラック企業には勤めてませんし、退職意思も今の所ないのでご心配なく。(つらくなったらすぐ辞めてやるけどな!)

それでは。