吹田の散策で見つけた重要文化財を見学した【西尾家住宅】
前回の記事で立派な庄屋屋敷を見つけましたが、後日、内部の見学に参加しました。前日に電話で予約すれば、職員の方が丁寧に案内してくれました。参加費無料。
見学申し込み概要
https://www2.suita.ed.jp/hak/Kyunishioke/kyunishioke.html
前回の記事はこちら。
西尾家は代々、仙洞御料の庄屋をつとめていました。仙洞御料とは上皇の所領地のことで、新嘗祭などで使うお米を作っていた土地のこと。吹田にそんな土地があったんだ。直近では大正8年(1919年)の新嘗祭で西尾家の米が使われたそうだ。
そういえば吹田のお米って実は今も盛んで、「吹田のゾウ」という地酒が作られています。飲んだことあるけど美味しかった。
門をあけてもらうと大きなお屋敷が見えます。主屋は明治28年(1895年)に建てられました。写真いちばん右で木に隠れていますが、米蔵は江戸時代に建てられたそうです。
これらのお家は、平成初期くらいまでは子孫の方が住んでおられたのですが、その後国に譲渡され、2009年に重要文化財に登録されました。
中には模型がありました。右上が主屋ですが、左下には離れがあり、温室と防火水槽までついています。理由は後述。
さて、内部を見学しようと思ったのですが、残念ながら耐震基準を満たしていないため、建物内部には入れませんでした。土間みたいなところから覗いたり、庭を歩いたりしかできません。さらに、今年の夏頃から長期に渡って耐震工事を行うそうです。工事中に見学ができるかは未定とのこと。
主屋
立派なお屋敷です。実はこの西尾家は文化的な繋がりも多くあったそうで…。ベルリン・フィルを指揮したこともある音楽家 貴志康一の母の実家が西尾家であり、彼はこの家で生まれたそうです。それにちなんでコンサートが行われたこともあるそうだ。いいな〜。
米蔵
住宅の中で一番古い建物は、米蔵でした。江戸時代に建てられたとのこと。
離れ
大正14年(1925年)築。設計者は京都・大阪の建築でおなじみの武田五一。まさかこんなところでお目にかかるとは思っておらず、びっくりした。彼もまた西尾家の遠縁に当たるそうだ。
こちらも耐震性の問題から、窓から覗くだけとなりました。奥の部屋にステンドグラスもあるそうなので見たかった…。ビリヤード台はあとから置いたもの。
フローリングの意匠が凝っている。
お庭
桂離宮にある卍亭を真似て作った、四つ腰掛け。座っても気まずくならない椅子。
このお家、茶室も3つくらいあるらしい。数年前までは茶会などで貸し出されていたとのこと。いいなあ。
慈姑(くわい)といえばおせちに使われる野菜ですが、吹田の名産でもあるそうです。この吹田慈姑の研究を行ったのが、日本植物学の父とも呼ばれる牧野富太郎。彼もまた、西尾家と交流があったそうで、敷地内には温室跡もありました。
ちなみに牧野富太郎は2023年前期の朝ドラで主人公となり、神木隆之介が演じるそうです。タイムリー!
パンフレット
というわけで、吹田の豪邸の見学に行った話でした。お金持ちはいろんな文化的交流をしているから、つながりを知ると面白いね。耐震工事が終わったら、お茶会やコンサートにも参加してみたいものです。
ちなみにここから徒歩10分くらいのところに、庄屋屋敷を使用した「浜屋敷」という公民館のような場所があり、そちらも訪れたのですが、老人や子どもたちがのんびり過ごしていたのが良かったです。