ものほし

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京都駅ビルに使われている73種類の石材を探したら大変だった

京都駅ビル好きの僕が、友人や研究者を巻き込んで、京都駅ビルに使われている石材の特定に奔走した話です。

参照記事

こちらは当日の様子をまとめたtogetter記事です。

togetter.com

こちらは石材同定を一緒にやった、ふれっしゅさんが書いた記事です。

fffw2.hateblo.jp

きっかけ

京都駅ビルは1997年に原広司設計によって建てられた駅ビルです。この建物にはたくさんの種類の石材が使われています。僕は建築を見るのが好きなのですが、「素材」を意識して見たことはあまりなく、駅ビルでどんな石材が使われているのか興味がわいてきました。

実は正面玄関のスペースに「石の博物館」という形で、世界の様々な石材が展示されています。説明文は以下の通り。

京都駅北側の6箇所のあずまやに集められた石は288種類、表記してあります主な産出国は35カ国です。

実際に、この建物に貼られている石材は73種類です。

石の名前は、学名ではなく石材名です。石材名は、いろいろに名づけられていますが、ここに示してありますのは、その1例にすぎません。

 

こういうタイプのあずまやが6箇所あります。

しかしいろんなサイトを見ても、この73種類がどの石材で、どこに貼られているのかは書いていませんでした。誰もやったことがない…ということは、調査するしかないでしょう!

事前調査

聞き取り

というわけでまずは京都駅に詳しそうな方に聞いてみることにしました。京都駅研究の第一人者であるキティ川さんです。

僕「突然失礼しますが、おうかがいしたいことがあります。今度、京都駅中央口前にある「石の博物館」の石が駅のどこに使われてるか、同定してみたいと思ってるのですが、されたことはありますでしょうか??何か手がかりをお持ちでしょうか?と思いまして。」

キティ川さん「おお、石柱を調べられるのですね◎ 駅ビルの方もどの石がどの箇所に使用されているか特定がかなり難しいと話されていました。下記のものが該当の記事になります。

ci.nii.ac.jp

益富地学会館に全リストがあるようですので、そちらの学芸員さんに伺うのも良いかと思います。

キティ川さんありがとうございました。というわけで調べてみると、御所の近くに益富地学会館という石に関する博物館があることがわかりました。またその会館が発行する雑誌「地学研究」で、会館の学芸員である吉村隆男さんが駅ビルの石に関する論文を書かれたことがわかりました。

文献調査

そこで図書館で論文を入手したのですが、残念ながら内容としては「京都駅ビルの石材が石の博物館に展示されている」という紹介のみでした。ただ、展示されている石材の全リストが地学会館においてあると記載されており、これを活用すれば調査が楽になるかもしれません。

というわけで益富地学会館に連絡したところ、なんと著者の吉村さんにアポを取ってくださいました。石材同定の当日午前中に、益富地学会館に行くことにしました。

資料収集

さて、石材を同定するには石の博物館と石材が貼られている場所を往復しないといけません。ただそれではあまりに時間がかかるので、事前に288種類すべての石材サンプルを写真に撮ってiPadに入れ、色や質感でフォルダわけしておきました。石材の写真を撮るとめっちゃ反射するので大変でした。(反射するとブログに載せられなくなる)。

 

 ふれっしゅさんも同じことをされていた。笑

益富地学会館

2018年5月13日。調査当日は、益富地学会館で集合しました。メンバーは僕、ふれっしゅさん、そして建築専攻の後輩女子。モノ好きが3人も集まりました。

誰がこんなマニアックな博物館に行くのだろうと思っていたのですが、たくさんの人で賑わっていました。すごい!展示物もきれいな石、めずらしい石や化石まで、たくさん揃っています。普通にまた訪れたいスポットでした。

ソビエト産のマンモスの体毛の化石。

聞き取り2

アポをとっていた吉村さんに話を伺いました。残念なことに、1997年の論文なので今はもうリストは残っていないらしい。ただ、石材同定のやり方を教えてくださいました。実際に石を調べるときは叩いたり割ったりして見るのだが、当然駅ではそれができないので、どういう成分がどのくらい入っているのかを見ると良いとのこと。また「男性1人で石材を調べていたらかなり怪しまれたので、女子がいると怪しまれなくて良いね」との助言もいただきました笑

吉村さんに方解石の解説をしてもらった。二重に屈折するらしい。ひねくれてんなあ。

京都駅で調査開始

というわけで調査開始です。ところが・・・

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見てくださいこれ。一見同じに見えるでしょ?全部違うんです。あまりの石材の多さに途方にくれる我々。果たして今日中に全部特定できるのだろうか…。

作戦

ここで3人の作戦を紹介します。まず建築系後輩女子は、設計者 原広司の著作を持ってきて、駅ビルの範囲を決めてくれました。京都駅ビルJR東海の新幹線駅や近鉄の建物とくっついているので、この本の図面を使って、調査範囲を絞ることができます。

そしてふれっしゅさんは原色石材大辞典を持ってきて、石の博物館以外の情報を収集してくれました。

同定作業

タブレットやパソコン、書籍の画像と照らし合わせながら、一致する石材を1つ1つ探していきます。

「これかな?」というのは見つかったのですが、なかなか自信を持って決めるには至りませんでした。理由は

  • 光の当たり具合によって写真と実物の見た目が全く違う
  • 石の博物館に展示されている石材はかなり小さいので、たまたま違う模様の部分を抽出しているのかわからない

などです。手触りや遠目に見た感覚で当てていくしかなく、そもそも正解がわからないのでゲキムズです。

化石発見

ホテルグランヴィア京都前で化石を発見。ボーナスゲット!(?)

仕上げの違い

石材事典で調べてみると、同じ「マルチカラーレッド」という石材でも本磨きとジェットバーナー仕上げによって見た目が全然違うという。うーん、難しいな。

昼休憩

本物の石材で目が肥えた結果、昼ごはんを食べに行ったポルタの地下街の床がチープに見えてしまった。

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頻出する石材

1日探し続けていると、だんだんよく使われている石材がわかってきました。

階段の手すり部分、左の茶色いのがバルチックグリーンで、右の緑色のがベルデフォンテインと思われる。

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バルチックグリーンとベルデフォンテイン。fountainの日本語表記がいろいろあって、石の博物館ではフォンタインになっている。この2種類の石材は京都駅ビルでよく見かけます。これを見つけられるようになったら京都駅石材探し中級者でしょう。

石材多すぎ

わざわざ違う種類の石材をこれでもかという感じでどんどん貼って数を稼いでいる。多すぎる! 

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ライトで照らされる部分だけ違う石材が貼られているの、おしゃれだなあ。

繰り返し構造

京都劇場前では、1つの石から薄切りにして石材を作ったからだろうか?上の緑の石はおなじ模様が繰り替えされている。また、下の黒い石材部分には輪切りにした化石が出ていて、MRIで撮ったみたいで面白い。

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↓ 拡大

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貝の化石かな?

おわりに

まとめ

残念ながら全部を特定するには程遠かったのですが、いくつか特定できたし、夕方になり疲れも出てきたので、ここで終わりました。

結論です。

  • 京都駅石材同定はめちゃくちゃ難しい
  • でも慣れたら、わかるやつはわかる
  • 光の当たり具合で変わるので、石の博物館で本物を触って質感を覚えてから探すと良い

みなさんもぜひやってみてはいかがでしょうか。

 

僕「こうなったらもう、探偵ナイトスクープに依頼というのは…?」

ふれっしゅさん「視聴率狙えんわ

 

参照記事

以下の記事もお楽しみください。

こちらは当日の様子をまとめたtogetter記事です。

togetter.com

こちらは石材同定を一緒にやった、ふれっしゅさんが書いた記事です。

fffw2.hateblo.jp

おまけ:原広司カーブ

原広司建築によく見られるカーブを描いた椅子。今度は原広司カーブを探してみたい。

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